涙の流れ星──『僕らは奇跡でできている』を観て
このドラマを観て、自分の胸の奥の何かが変わった。そう思うのは、僕だけではないと思います。
『僕らは奇跡でできている』
動物行動学の研究者で、大学の講師になったばかりの相河一輝(高橋一生)が主人公ですが、彼の幸せそうに自然や動物を眺める視線が、それだけで観る側も幸せにしてくれる、そんな作品です。
最初は同じ研究者として、うらやましく思いました。自分が文学の研究をしている時に、あのように幸せそうな顔をしているのだろうか、そう自分に解いてみると、おそらく違うだろう、とすぐに答えが出ます。好きなことを好きだからやっているのに、なんで幸せじゃないんだろう、なんで楽しくないんだろう。
子どもみたいに喜んで動物のことを語る彼を見ながら、思わず顔がほころび、今からでもああなれるかな、などと思っていると、彼の周りの人も一人ずつ彼に影響され、自分のことを振り返るようになっていきました。特に歯医者の水本育実(榮倉奈々)は、自分に厳しすぎて、「やりたい」じゃなくて「やらなきゃいけない」に駆られて生きていることに徐々に気づいていきます。
僕も何度か言われたことがあります。「あなたは自分に厳しいですね」って。当時はその意味もよくわからなかったし、変わろうとも思いませんでした。でもこのドラマを観て、あ、変わっちゃっていいんだ、自分に厳しい自分だけが本当の自分ってわけではないんだ、と気づかされました。
このドラマはぜひ見てもらいたいので、多くは語りたくありません。
ただ、僕にはいろんな感動を与えてくれました。泣き虫なので、たくさん涙も流しました。
そして、ペーパータオルで涙を拭いたら。
流れ星の形になりました。
なんだか、とても嬉しかったです。
くだらないかもしれないけど、そのとき、奇跡だと思いました。
とても小さな奇跡が、実は身の回りにたくさんあって、それに気づくか気づかないか、たったそれだけのことで幸せと不幸せに別れてしまうのではないか。わかり切っていたはずのことですが、このドラマを観ると、そんな綺麗すぎる真実も、信じられそうになりました。
もしこの文章を最後まで読んでくれた方がいらっしゃれば、それもまた、僕にとっては、とても大切な奇跡に思われます。本当に本当に、ありがたいことです。:)